名作と呼ばれている映画や小説、音楽などを鑑賞していくことが趣味なのですが
「自分の直感だったら決して見ないだろうな → でも見てよかった」という作品でした。
本作品の魅力を私なりにお伝えすると
【第二次世界大戦の真っ只中、ヒトラーを実名で批判する(バカにする)反戦コメディ映画】
チャップリンの「独裁者」は共通点が多く
”第二次世界大戦の真っ只中、ヒトラーを批判する反戦コメディ映画 という部分で同じで
より有名ですが、(こちらはヒトラーでなく、ヒンケルという仮名)同じくらいの名作でした。
とはいえ
この作品は、私にとって全然食指が動かなかった作品でした。
”見よう!”と思ってから、実際に見るまでに数年かかってます。
自分への宿題として、やっと見ることが出来た作品でした。
理由としては、「面白くなさそう」という先入観が強かったです。
・1942年の作品という、いまから80年も前の作品なので当時の時代背景とかの把握が大変そう
・俳優などが知らない人ばかり
・同じ監督の、別作品を見たことがなかった
・題名である「生きるべきか死ぬべきか」はシェークスピアの有名なセリフであり、シェークスピアとか教養が求められそうでツライ
同時代の映画作品で
「自分の直感だったら決して見ないだろうな → でも見てよかった」という作品としては
同じようなコメディの「ヒズ・ガール・フライデー」という作品もあります。
こちらに関しては、
・主演が、何作品か見たこととのあるケーリー・グラントだった
・すでに見たことのある映画「フロント・ページ」と同じ原作で、どちらも名作と呼ばれている
という部分で、観るモチベーションがより高かったです。
頑張って観た映画にはなりますが、テンポもよくて面白かったです。
映画を観終わった後、作品解説のブログ等を読んで作品理解を深めるのをやっているのですが
そこで気づくことも多いです。
本作品は、ポーランドが主な舞台なのですが、登場人物によってはイギリスの描写もあります。
ただ、私が鑑賞しているときにはそれらの明確な区別がよく分かってなかったので
解説ページの粗筋を読んで「なるほど、そんな話だったのか」と納得した次第です。
理由としては、”当時の時代背景を私が理解してなかった”というのもありますが
モノクロであり、また美術の部分でポーランドとイギリスの区別をする部分が弱かったのかもしれません。
あと、本作品の特徴として主人公たちが劇団員であり、変装をよく行います。
その変装が上手すぎて、”(見た目で)誰が誰だかよくわからない”ということがよくありました。
それはモノクロとカラーの違い、という影響もあるかもしれません。
話の筋から、区別できるようにはなっていたのですが
もしかしたらいまの映像文法からすると、
もう少し区別しやすい(変装してても視聴者には同じ登場人物と分かる)ように演出されることが多い気がしました。
作品解説のブログを読んで、”なるほど!”と思ったことが2つあるので書いておきます。
ネタバレで興を削ぐ内容ではなく、知っていると作品をより楽しめる情報かと思いますのでシェアさせていただきます。
1.タイトルの「生きるべきか死ぬべきか(To be, or not to be)」
こちらは言わずとしれたシェークスピアの「ハムレット」での名ゼリフ
実はこのセリフがダブルミーニングになってたのですが、私は気づかなかったです。
高度な教養が求められる、というわけでなく中学程度の英語力があれば気づけたので残念です(笑)。
劇中の舞台劇で、”主人公がこのセリフを言うと観客の一人が席を外す”、という内容なのですが
英語の直訳として「(ここに)いるべきか、いないべきか」という意味もあり、その観客はそのセリフの意味通り
去っていってしまう、という面白味がありました。
2.シェークスピアの「ベニスの商人」からの名ゼリフ
本作品では、上記の名ゼリフ以外にも、「ベニスの商人」からの名ゼリフも効果的に使われている。
こちらの理解には「ベニスの商人」を知っていないと理解できない内容です。
私は「ベニスの商人」自体は知ってたのですがこちらも気づけなかったです(笑)。
引用された名台詞は「ベニスの商人」の登場人物でユダヤ人の金貸しシャイロックのセリフなのですが
このセリフが【ナチスに迫害されているユダヤ人】になぞらえている、という点です。
印象的に引用されてたので、”なんらかの大きな意味があるんだろうなぁ”とは思ってましたが
上記の意味までは思いつきませんでした。
本作品がとても面白かったので、同じ監督の名作映画「ニノチカ」も観たいモチベーションが上がりました。