レイ・カーツワイル「シンギュラリティは近づいている」第7章: 危機

第7章: 危機(要約)

この章では、技術の進歩がもたらす潜在的な危機について詳細に論じています。以下は主要なポイントです。

核兵器の脅威

• 現状: 現在、世界には約12,700個の核弾頭が存在し、そのうち9,440個が稼働中である。核戦争のリスクは依然として高く、特に米国とロシアは30分以内に発射可能な約1,000個の弾頭を保有しています。
• リスク評価: 核戦争で少なくとも100万人が死亡する確率は30%、10億人が死亡する確率は10%、人類が完全に絶滅する可能性は1%と専門家は推定しています。
• 対策: 国際条約によって核兵器の削減が進められていますが、核テロや偶発的な発射のリスクは依然として存在します。

バイオテクノロジーの脅威

• 可能性: 遺伝子工学の進歩により、極めて致死的で感染力の高いスーパーウイルスが作成される可能性があります。COVID-19パンデミックはその一例として挙げられています。
• 対策: グローバル迅速対応チームや連邦バイオテロ防衛活動が設立され、新しい病原体に対する迅速な対応が可能になっています。AI技術を活用した新薬やワクチンの開発が進んでいます。

ナノテクノロジーの脅威

• リスク: 自己複製ナノボットが暴走し、地球規模で破壊を引き起こす「グレイ・グー」シナリオが懸念されています。
• 対策: ブルー・グー(防御ナノボット)による防御システムの開発が進められています。これにより、破壊的なナノボットを無力化することが目指されています。

人工知能(AI)の脅威

• 誤用のリスク: AIが人間の意図に反して使用されるリスクがあります。特に、テロリストがAIを利用して新しいウイルスを設計する可能性があります。
• 内部不整合: AIの目標と行動が不一致を起こし、望ましくない結果を生む可能性があります。
• 対策: AIの安全性と信頼性を高めるために、AIの調整問題を解決する技術が開発されています。また、国際規範や倫理的なガイドラインの整備が進められています。

結論

この章では、技術の進歩がもたらすリスクを認識し、それに対する対策を講じる重要性が強調されています。AI、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーの発展が新たな脅威を生み出す一方で、それらの技術を利用して脅威を管理し、制御するための手段も同時に進化しています。

–感想

技術進歩に伴う、新たな危機・脅威に関して論じてます。
新しい技術が誕生すると、それに対しての脅威を感じ使用を禁じたり、新たな開発を禁止したりすることがあります。

そういった技術に後ろ向きな意見もある一方、著者は技術楽観主義らしく
「そのためにも科学技術を積極的に活かす」とする点が興味深かった。