ミチ・オカク「量子超越」10章 創薬と保健衛生

【平均寿命の進化】
・人類史のほとんどで平均寿命は20~30年程度。衛生状態や疫病の脅威が寿命を制限していた。
・19世紀に公衆衛生の改善や下水道の整備が進み、平均寿命が大幅に延びた。
・抗生物質やワクチンの発見がさらなる延命を可能にし、多くの死病が克服された。

【抗生物質の発見と課題】
・1928年、アレクサンダー・フレミングがペニシリンを発見し、細菌感染症治療に革命をもたらした。
・しかし、抗生物質の濫用により薬剤耐性菌が出現。一部の細菌感染症が再び脅威となっている。
・新たな抗生物質の開発には20億~30億ドルの費用と10年以上の歳月が必要で、開発は停滞している。

【抗生物質の作用メカニズム】
・細胞壁の破壊:ペニシリンやバンコマイシンが細菌の細胞壁を作る分子を阻害。
・DNA機能の妨害:キノロンが細菌の増殖を抑制。
・タンパク質の合成阻害:テトラサイクリンが細菌の重要なタンパク質合成を阻害。

【量子コンピュータの役割】
・現在の抗生物質開発は試行錯誤に依存。量子コンピュータを活用すれば、分子レベルで細菌を攻撃する新たなメカニズムを迅速に発見可能。
・量子コンピュータは、従来のプロセスを効率化し、メカニズムの特定から新薬開発までを逆転したアプローチで行う。

【ウイルスとワクチン】
・ワクチンはウイルスを直接攻撃せず、免疫系を活性化して抗体を作る方法。天然痘、ポリオ、はしかなどの撲滅に成功。
・新しいワクチンの開発も試行錯誤が多く、量子コンピュータで効率化が期待されている。

【新型コロナウイルスと量子コンピュータ】
・量子コンピュータは新型ウイルスの早期検出やパンデミック予防に活用可能。
・下水道センサーや体温計、ソーシャルメディアから収集したデータを解析し、感染拡大の兆候をリアルタイムで検知。

【免疫系の理解と進化】
・免疫系の複雑なメカニズム解明には量子コンピュータが不可欠。例:スペイン風邪や新型コロナで見られた免疫系の過剰反応(サイトカインストーム)の分析。
・量子コンピュータを活用することで、免疫系のスイッチを調整し、重篤な感染症の治療方法を開発可能。

【オミクロン株と量子コンピュータ】
・オミクロン株のような変異ウイルスの解析も量子コンピュータで迅速化。ウイルスの構造や行動を予測し、対策を迅速に講じる。

【未来への期待】
・量子コンピュータは、新たな抗生物質の開発や免疫系の強化を促進。
・がん、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALSなどの不治の病の治療法開発にも貢献。
・免疫系と分子レベルの病理を理解することで、現代医学の限界を超える新しい治療法が実現する可能性。